潮風の中で〜クルーズと街歩き・覚え書

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zoom RSS セレブリティ クルーズ 〜25〜 ベルファースト@

<<   作成日時 : 2007/08/15 09:17   >>

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画像
5月22日。乗船6日目。
北アイルランド、ベルファースト。初訪問の街です。
世界で有名な街の一つです。かつては工業都市。ここ30年ほどはマイナス・イメージで。
果てしなく続く、と思われていたあの紛争、抗争。
「今は、落ち着いた。もうすぐ、歴史の中に名をとどめるのみとなる。世界を騒がすほどの抗争はもうない。和平は根付いている」−。
〜写真上は、あの「タイタニック」を建造した造船所、「ハーランド&ウォルフ社」のドライドッグ=手前=と、そのドライドッグの対岸に停泊する「センチュリー」。画像ドッグの中をのぞくと、大空間。ドッグも、高さ1メートルほどの鉄柵で囲まれているだけで、タイタニックをイメージするよすがは何もない。この街へクルーズ客船がやって来るのは久々だと、地元のマニアが、タイタニック建造ドッグとの組み合わせで写真撮影に。しかしそれも、まばら。乗船客もほとんど、ここには姿を見なかった。
下の航空写真プラス地図の、カバンのマークポイントが「センチュリー」の停泊場所。その対岸の、上下2基あるドライドッグのうちの下の1基がタイタニック建造ドッグ〜


画像下船する前、船内のテレビで北アイルランドをガイドしてくれたクルーの話です。「シャンキル(Shankill)通りとフォルス(Folls)通り=注・カトリック系住民とプロテスタント系住民が近接して住んでいる、ベルファーストの下町=周辺にさえ近づかなければ、ベルファーストはもう、夜でも安全」だそうです。

本当でしょうか。信じていいのでしょうか−。
1980年代から90年代に、ロンドンに中、長期滞在した当時の留学生や商社マン、その他日系人の皆さん、信じられますか?

〜写真は、ひときわ異彩を放つ「グランド・オペラ・ハウス」。その奥は、ヨーロッパ・ホテル。世界でも一、二を争う有名ホテルだ。カトリックとプロテスタント、ユニオニストとナショナリストが血の抗争を繰り広げた当時、取材に集まる世界の新聞記者たちの常宿ホテルでもあった。このため爆破事件が頻繁に勃発し、ギネスの世界一記録で「世界で最も数多く爆破されたホテル」に、現在でも名を連ねているという〜

画像さすが、古くからの造船の街。港は広大で、右に左に、行っても行っても埠頭が続く、奥の深い港湾都市でした。しかしイメージは、うらぶれた、翳り行く街。

いったいどれが、その巨大ぶりで有名な超マンモスクレーン「サムソンとゴリアデ(Samson&Goliath)」なのか。見当もつかないほどに数多い巨大クレーンが林立。が、そのほとんどが稼動していません。


画像あの「タイタニック」を造り、進水式では10万人が見物に来たと書き留められている資料で想像できる、当時の華やかさ、きらびやかさなどは微塵も感じ取れないほど、さびしい街。それが、港に入った第一印象でした。
しかしここで、アムステルダム出港以来初めて、乗客の乗る船に出会いました。
写真の、ステナ・ライン(Stena.line)のフェリーです。


画像今回のコース、クルーズ船の辺境地域を巡っていると見え、出港以来これまで、客船はもとよりフェリーにさえ、出会ったことがなかったのです。で、センチュリーの乗客がこぞって、うれしそうにフェリーを眺めていました。
このフェリー、名前は「ステナ・ボイジャー」。スコットランド、ローランド地方のストランラーとベルファーストを、高速船で1時間45分で結んでいます。


画像下船して地上観光のバスに乗り、ジャイアンツ・コーズウェイなど「目玉」の郊外の観光地を巡り終え、街に入ったのは、既に夕方近く。

そして、その所為もあって、結局は、わびしいというか、寂しい感じの、港の第一印象と同じイメージでした。街並みは。マスコミを賑わした長年の歴史に、こちらの目が「色眼鏡」「曇り眼鏡」で眺めていたのかもしれませんが。


画像人口40万人。ヨーロッパの基準値ではフィレンツエやニース、ビルバオなどと並ぶ中規模都市で、そこそこ賑やかな街の範疇に入ると思うのです。
が、華やかさは、薄かったです。
今では国境での検問もなく〜(完全フリー、だそうです)〜、バスで簡単に行ける、南の共和国の首都ダブリンに比べてさえ。一世紀ほど昔、ともに英国領時代には、経済力では比べものにならないくらいに、ダブリンをはるかにしのいでいたのに。
人通りも車の通行量も、商店やデパートの飾り付けも。地中海沿岸のラテン系の国に比べてすべて地味目の、イギリスの都市の一つである、という条件を差し引いても、なお、印象は暗かったです。

〜写真は、ベルファーストの象徴、時計塔の基礎部の彫刻〜
画像理由はいくつかありますが、最も目立つのは、人通りが少なく、中心街なのに店もそろそろ閉店準備中、または閉店済み。聞けば、木曜以外は午後5時もしくは5時半が閉店時間。その木曜とクリスマス・シーズンを除くと、飲食店も観光客相手のみやげ物店も、きちっと時間厳守しているそうです。
店のウィンドーも飾り付けが少なく、典型的な、昔のヨーロッパの風習の街でした。

バスに添乗し、この街を案内したのは、ベルファーストに住む地元の方と結婚し、「カトリック、プロテスタント双方の地区のカルチャーセンターでボランティアをし、双方の皆さんと仲良くしている」語る、日本人女性の方でした。

〜完成以来今年で101年目の市庁舎、シティホール〜
画像住み始めてから既にン年、、、とおっしゃるだけに、テロ、無差別殺戮で国際社会をも揺るがした対立の構図の「元凶地」情報にお詳しく、日本のテレビや新聞だけではわからないさまざまな情報も、かいつまんで車内で教えていただきました。
日本のテレビ局の取材にも、現地での調整スタッフとして参加した経験があるそうです。「日本人への印象、対応は、双方の住民とも概していいのですが、、、」。

〜写真は、「最近2,3年で見違えるように整備が進んだ」というイベント広場と王立裁判所〜
画像「そしてまた永年の歴史がありますから、日本人の底の浅い知識に基づく判断や情勢認識だけでは、理解しにくい面も。勝手な印象だけで、かつての対立地区に入るのは、どうでしょうか?」。
歯に衣着せぬ表現で、お話になっていました。

と言っても今では、緊張感は薄らいできたそうです。街も平穏さを取り戻し、バス停の整備、電車の新車両導入など、荒れていたインフラも整ってきたそうです。

〜2000年に完成した複合施設「オデッセイ」。内部には、ホッケーチーム「ベルファースト・ジャイアンツ」のホーム・リンクのほか映画館が13も〜
画像「1998年に20数人が亡くなったのを最後に、以降は確かに、爆発事件は一切起きていません。また金曜、土曜になるとパブやディスコにも人々が集まるようになって、第一、柔和な表情になりました。皆さん、、、」。
そうか、「真のIRA(Real IRA)」のオマー事件以来、もう10年になるのか、、、。
観光客も、やってくるようになった、そうです。

〜街の中心を流れるラガン川のウォーターフロントも整備が進んだのだそうだ。写真は、新しく出来たダム。すぐ近くから、タイタニックを造ったドライドッグ見学観光船が発着している。タイタニック記念碑も近い〜

画像そういえば、我々も、船に乗って訪ねている観光客なのデス! 途中、カリブ海や地中海のように、他のクルーズ船に遇うことはまだ一度も経験していない、クルーズ過疎地のような海原ですが。

もう、大丈夫、とはおっしゃらなかったですが、そんなニュアンスを含ませた言葉が、続きました。

〜ロンドンでおなじみの「マークス&スペンサー」も中心街に。しかし、午後5時で閉店済み〜

画像船に戻って、タイタニックを建造したドライドッグを、写真に撮りました。たった1枚ですが。
いや、正確には、撮ったつもりで、いました。
出港の時が来て、パイロット船の写真も撮りました。
帰国して、メモリーをチェックしても、そのたった1枚の写真は、捜しても探してもありません。撮ったつもりでいた、だけなのかもしれません。残念です。

〜タイタニック建造のドライドッグの、一基北にあるドッグ。タグボート写真の中に、偶然、入っていた〜

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コメント(9件)

内 容 ニックネーム/日時
毎回、毎回とても内容が深いですね。感心しました。恐らく口コミで読者の輪が広がってゆくことだと確信しています。

それから写真ですが、風景写真で人がいないのは絵はがきだと写真の先生からいつも言われています。
そこで人物登場ですが、前向きは良くない!(人物に目が行く)主役はあくまで風景なので、人物はなるべく後ろ向きを登場させること。そして片足あげているところとか(動きを感じさせる)、風景の静に対して人物の動を加えることにより、画像が生きてくると言われますが、理屈はわかるが、実際は難しいですよね。
藤原雄一郎
2007/08/15 09:53
藤原さん、ようこそ、ようこそ!

なるほど! 人物を動きのある形で入れる!
これが一つのコツですか。
仕事をしていたころのクセで、プライバシーと個人情報保護が気になるのですが、横向きならば、権利の侵害にあたりませんよね。
これは、勉強させていただきました。
次回から、写真撮りの参考に!

さすが、写真のプロでいらっしゃる。
>風景の静に対して人物の動
しっかりメモしました。

ありがとうございました。
hiroshi
2007/08/15 13:08
hiroshi さん コンニチハ〜

ベルファーストは、あの宗教対立「カトリック系住民とプロテスタント系の血塗られた争い」の場所でしたか? IRA のテロ あの頃は盛んに報道されて居ましたね! そうでしたか?
>ギネスの世界一記録で世界で最も数多く爆破されたホテル・・・ 船も少なく、観光客の姿も無い。 凄い所ですね? 
もう〜歴史の一ページですか? 平和になってる様に見えても何時脆くなるか? 最近もタリン・サンクトペテルブルグできな臭い事件がありました。 平和を祈ります。

>ベルファーストに住む地元の方と結婚し日本人女性の方でしたそしてまた永年の歴史がありますから、日本人の底の浅い知識に基づく判断や情勢認識だけでは、理解しにくい面も。勝手な印象だけで、かつての対立地区に入るのは、どうでしょうか?」。・・・・ 含蓄のある現地の方のお話ですね!!
どんな僻地にも、日本女性が居られて驚きです。
たえこ
URL
2007/08/15 13:45
たえこさん、ようこそ、ようこそ!

>どんな僻地にも、日本女性が居られて驚きです。

ホント、そうですね。
そして、その日本の女性の方のかなりの方が、現地の方と結婚しておられますね!
みえこさんのおっしゃる、国際結婚!です。
すごいですね、最近の、国際化の先端を走る日本の若い人たちは。たえこさんの可愛いメイゴさん(ウン?オイゴさんではなかったですよね?)もそうだし。うらやましいです。

ベルファーストは、これまで何回か行く(行かなければいけない)機会があったのですが、敬遠していました。観光客として通過するだけならばそれほどでもないらしいですが、平和の壁付近は、まだ当分、自分たちだけで好奇心、面白半分で出かけるな、程度の意味だろうと思うのですが、あのガイドさんの言葉は、ちょっと凄みがありました。女性で、オバサン、なのに。
hiroshi
2007/08/15 14:00
hiroshiさん こんにちは。
ほんとに面白くて思わず引き込まれるように読んでいます。
地図も好きなので、この航空写真・地図も細部まで観察しました。船に乗るようになってから、常に手元に世界地図と日本地図を常備して、乗船できない時は航路図と地図で仮想クルーズを楽しんでいます。
「ドライドック」ってどんなの?と気になれば、ウェブで検索しなくてはいけないし。前から、ドックで船が建造されたり、年に一度の点検整備の際はどうやって船を入れたり出したりしているのか、機会があったら見てみたいものだと興味があります。
記事とはあまり関係のない横道にそれたコメントですみません。

それと横レス失礼しますが、藤原さんの写真についてのコメント、私もとても参考になりました。
次回からは、もう少し人を入れて動きのある写真に挑戦してみたいと思います。
まゆき
URL
2007/08/15 17:55
まゆきさん、今晩は!

いや、まったく同感です。藤原さんの写真についてのご指導。ホントに、言われてみればその通りですネ。
ご指導を受けてから、写真のすばらしいと思えるいくつかのブログを巡ってみたんですが、まさに、ご指摘どおり。人物を入れ、で、プライバシーにも配慮している写真がイキイキと載っていました。
貴重な秘訣を、教わった思いです。

クルーズばかりでなく、写真も先生、ですね。

個人的には、たえこさんご夫妻の写真が好きです。ご主人の緻密な写真は言わずもがな、たえこさんの写真も、天性の才能を感じるのですが。これは、写真のわからないものの、勝手な判断ですが。

たえこさんのご主人や藤原さんには、メカ(機材)からして違いますし、そこまでのめり込むつもりもないので、何ですが、たえこさんには、いろいろと、写真から学んでいます。が、本日の藤原さんのひと言も、貴重な話でした。

あ、わき道ばかりのコメントで、申し訳アリマセン!
hiroshi
2007/08/15 19:10
アイルランド出身の方に紛争のことを尋ねたら「話し合いで解決し 今は静かになりました。」とのこと 良かったです。
悲惨な事件が起きるたびに なぜ同じキリスト教どうしでここまで憎しみあうのかと首をかしげたものでした。

同じことが今のイラクの状態ですよね。
「血が濃いほど憎い」と言いますけど イスラム同士でも些細な違いで無差別攻撃の繰り返しをしているのが今のイラクの状態で 人間って愚かだなーと思います。

終戦記念日の日に平和を強く願い 安心して地球上のどこへでも行けるように願いました。

日本では宗教を生活の中心に持ってくることなく 心の中にとどめておく常識ある日地たちでよかったと思います。
みえこ
2007/08/16 10:40
↑ 常識ある日地たち
  常識ある人たち  間違いました スイマセン
みえこ
2007/08/16 10:43
みえこさん、ようこそ。PCを立ち上げたところでした。
ブログのコメント欄の削除や訂正は、このWebryでは出来ないことが判明しました。全体の形を自分で決めればできるようなので、現在基本から勉強中です。まだまだ時間がかかりそうで、申し訳ありません。

本当にそうですね。人間って愚かですね。
私がブログを始める前に、みえこさんはケルトについて書き込め、とおっしゃいました。で、ご存知の話でしょうが、ケルトの民であるアイルランドの人々にとっては、植民地にして、地主として入植してきて土地を取り上げ、小作人の身分に落とし、小麦の収穫を全て搾取していって、運良くこの直前にスペインを経由して、新大陸から伝わったジャガイモのおかげだけでやっと生き延びてきた、そんな歴史を強いたイングランドに対し、恨みは非常に深いものがあっても仕方がないと思います。宗教戦争のような図式で紛争は続きましたが、実際は、プロテスタントの一派、アングリカン(英国国教会)が象徴する、イングランドに対しての長年の憤りの噴出だったのですから。私個人としては、アイルランドに、若いころから同情してきました。虐げられた歴史を持つ民に。
hiroshi
2007/08/16 11:18

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